「いま浪人中なのですが、伸び悩んでいます」
もしくは受験を終えて「途中まで順調だったけど伸び悩んだ」みたいな話は良く耳にします。
実際に僕に相談をして来てくれる浪人生もいますし、僕の周りの浪人経験者でも伸び悩んだと感じる人は少なくないです。
でも、それって本当に「伸び悩み」なんでしょうか?
多くの浪人生は勘違いしています。
浪人生が感じる「伸び悩み」の多くは、実は「伸び悩み」なんかじゃありません。
伸び悩みというのは、順調に伸びていた成長曲線が止まる事です。
つまり、ある一定期間において学力・成績が向上していて初めて使える表現なはずです。
そう、僕が問いたいのは「本当に学力・成績が伸びていたのか?」ということです。
本当は初めから伸びてなんていなかったとは考えられないでしょうか。
現役の時よりも模試の成績が良いから伸びてたはず?
これは非常に浅~い考え方です。
伸びていると勘違いしていただけで、本当は初めから伸びていなかったのではありませんか?
初めから伸びてもいないなら「伸び悩み」なんて表現は使えません。
確かに、本当に伸び悩んでいる人がいることは間違いありません。
ただし、本当に伸びた人が「伸び悩む」と感じる事と、伸びたと勘違いして「伸び悩む」と感じる事には天と地ほどの差があります。
さて、あなたはどっちでしょうか?
もし本当は伸びてもいないのに伸びたと勘違いしていて「伸び悩み」という表現を使っているなら、気付いた時には致命傷になりかねません。
本当に伸び悩みなのか、伸びても無いのに伸びたと勘違いしてしまっていたのか。
この記事でハッキリさせましょう。
- 浪人生の伸び悩みの多くは勘違い=そもそも伸びてすらないよね
- 伸び悩んでいる?いや、伸びたと感じていることが勘違いです
- 勘違いで伸び悩んだと感じる人の末路は暗い
- 伸び悩みが勘違いと気付いた時に何をすべきか
- さいごに
浪人生の伸び悩みの多くは勘違い=そもそも伸びてすらないよね
【前提】「伸び悩む」とは、伸びた人にしか当てはまらない
言葉遊びのようですが、以降の話の前提として伸び悩むってどういうことか整理しておきます。
伸び悩むというのは、上昇しつつあるけど伸び切らないみたいなニュアンスです。
つまり、伸びてすらない人は「伸び悩む」には該当しないんですね。
偏差値30で伸び悩むとは言いませんよね?そもそも伸びてないので。
スランプは上手な人が不調に陥る現象で、下手な人にはスランプというのは適切じゃないみたいなイメージです。
つまり、この記事の本旨は「伸び悩む」を感じる浪人生の多くは、自分が伸びたと勘違いをしているだけで、そもそも伸びてすらいないので「伸び悩む」には当てはまらないということです。
そう、殆どの受験生は浪人開始してから伸びてすらいないので、伸び悩むなんておこがましい表現なのです。
⇩残念。殆どの人は伸びる事すらなく志望校には届きません⇩
伸び悩んでいる?いや、伸びたと感じていることが勘違いです
現役の時より模試の成績が良い=伸びた、ではない
浪人生は模試の成績が良いがために、自分の学力は順調に伸びていると考えがちです。
例えば、現役の時はC判定だったのに浪人したらA判定が出た、とかですね。
これは本当に勘違いを招きやすいです。
考えてみて下さい?
浪人序盤~中盤なんて現役生よりもアドバンテージに溢れています。
まず前年1年間の勉強があり、現役生が部活やってる時期も勉強に集中できる環境があります。
現役生が未熟な時期に浪人生が貯金を使って模試で比較的良い成績を取るなんて何も特別なことじゃありません。
その成績を鵜呑みにし、「やった!現役の時よりも成績が良い!ちゃんと勉強成果が出ているんだ」なんて考えて良い訳がありません。
仮に自分に有利な時期の模試で成績が良くても、あなたの勉強が順調で、ちゃんと学力が伸びているということの証明にはなりません。
単にスタート地点が高い事を伸びてるとは言わないのです。
本当に学力向上の結果なのか、現役生が時期的に未熟でアドバンテージに恵まれたから取れたのかは分からないってことです。
もし、これが後者だった場合、その見栄えの良い成績以上に問題は深刻です。
初めから大して学力が伸びていた訳じゃないのですから、現役生が本気になって掛かってきたら追い抜かれるのは時間の問題でしょう。
自分に有利、現役生に不利な時期での模試の成績を見て、伸びてると自分に都合良く勘違いするのは止めましょう。
初めから伸びてなんていなかった
順調に伸びていたのに、ある地点から思ったよりも伸びないとか停滞する際に「伸び悩む」という表現を使うと思います。
例えば、これは伸び悩んだというのでしょうか?
6月の模試ではA判定だったのに、10月模試ではC判定だった。
伸び悩んだと捉えるのが妥当でしょう。
でも、こうは考えられませんか?
浪人生には前年1年間の勉強という大きすぎる貯金があります。
この貯金のおかげで学力レベルが6だったとしましょう。
6月の模試は貯金を用いたその学力レベル6でもA判定が出せた。
でも、その後も学力レベルは6のままで、現役生が追い上げてきた結果C判定になってしまった。
自分の絶対的なレベルは変わらず、周りのレベルが上がったから相対的に成績が下がった、つまり最初からずーっと学力自体は変わらず一切伸びてこなかった。
初めから伸びてなんていなかったんですよ。
まやかしによって伸びていると勘違いしていたに過ぎません。
自分の取り組みが正しくて学力が伸びている訳ではなく、単に現役時代の貯金で見てくれの良い成績を与えてもらっていただけです。
つまり虚像ですね。。。
現役の時と立ち位置は大して変わらない
※この画像を頭に入れて、以降を読んでみて下さい。イメージが湧きやすいはずです。
人間にはそれぞれ「最大出力」というものがあります。
その最大出力以上のものは原則出ません。
簡単に言うと、軽自動車がスポーツカーと競争して勝てないようなものですね。
そして受験勉強にも同じことが言えます。
多くの場合、浪人しても現役の時と「最大出力」自体は変わりません。
「最大出力」は絶対に上がらないと言っている訳じゃありません。
ただ、長年付き合ってきた自分の最大出力を、浪人したからと言って簡単に自力で大幅に上げられるかと言われると、流石にそんなことはないんです。
最大出力が6ならば、基本的には自力で頑張って勉強しても6以上は出せません。
軽自動車には軽自動車の限界がある事と同じです。
ただ、浪人生は4月から最大出力に近いところにいられます。
これは前年の勉強であったり、部活なども無く勉強に専念できる環境からですね。
なので現役生が最大出力になる前であれば、良い成績が出ることは不思議ではありません。
でも結局出せる力は決まっているので多くの場合現役の時と同じような位置に収束します。
もちろん現役の時に勉強していなかったけど最大出力が大きい人はメチャクチャ伸びるでしょう。
それでも大半の人は、最大出力の不足分を膨大な勉強時間量で補って若干現役の時よりも良いというのが関の山で、最大出力を大幅に上回る合格は難しいものです。
つまり何が言いたいのかと言いますと。
大半の浪人生にとって、伸び悩むと言えるほど立派に学力が伸びることは滅多に無いということです。
初めからフルスロットルに近いおかげで、エンジン掛かってない現役生よりも良い位置に浪人当初はいられるので、それによって勘違いをしてしまう。
でも結局は、最大出力により定められた自分の学力は現役の受験時と浪人開始時、浪人終了時まで殆ど一定であるということです。
ついでに、上記の画像に基づいて説明しましょう。
浪人生A君は最後まで学力はほとんど伸びていません。
これは既に最大出力一杯だからです。
最後まで浪人開始時(=現役時)と同じような所に位置しています。
それでも4月の時点ですでに合格ライン付近にいるし、現役生A君よりも優秀です。
なので模試でA判定とか出ちゃうんですよ。
その結果「現役の時よりもいい調子だ!」と自分が伸びていると勘違いしますが、最大出力の都合上そこからは伸びません。
収まるべき位置に落ち着くということです
勘違いで伸び悩んだと感じる人の末路は暗い
気付いた時には手遅れ
これまでに話したような虚像として良い成績を出していた浪人生が、「伸び悩んだ」と感じるのは現役生が本腰入れた後の模試、夏以降になるでしょう。
ですが、このとき基本的には既に手遅れです。自力では成す術がありません。
なぜなら、その「伸び悩んだ」と感じるのは浪人生特有の前年の貯金がそこを尽きている時です。
そして、その類の浪人生はアドバンテージなしの状態で他の受験生に勝る術を知りません。
現役の時はあえなく受験に失敗。
そして浪人になって好成績を取れたのは前年の貯金のおかげ。
貯金が底を尽きたら成績降下。
そもそも、貯金無しのシンプルな自分の勉強だけでは好成績を取れない、そして受験の勝ち方を知らない浪人生が夏以降に夢から醒めても、それはもう自力で挽回することは難しいかもしれません。
もしも、浪人開始して最初の模試で成績が良かったことを「浪人生のアドバンテージが大きかった」と捉えられていれば結果は違ったかもしれません。
現役の時の失敗を基に勉強法を見直し、上述した「最大出力」自体を大きく変えるような取り組みができたかもしれません。
時間は十分にあったはずです。
成績が伸びているから自分のやり方は間違っていないと勘違いをしてしまった、驕りと怠慢の積み重ねの結果でしょう。
伸び悩みが勘違いと気付いた時に何をすべきか
シンプルに焦れ
これまで自分の成績は伸びていると勘違いをし、現役生が本腰入れていないがために取らせてもらった模試の好成績を見て志望校に合格できると思っていたかもしれません。
でも、それは夢です。
非常に自分に都合の良い解釈に基づいた夢を見ていたに過ぎません。
もうそんな驕りに満ちた考え方をしている猶予は残されていません。
何故なら、浪人開始からこれまで殆ど学力が伸びていないのですから。
まずは焦ってください。
このままだと余裕で不合格になる事を自覚してください。
これは大前提です。
勉強スケジュールの徹底的な見直し
まず話を整理しますと、自分の勉強が正しくて成績が伸びていると思っていたが、それが勘違いだったという話ですよね。
つまり、この場合は現役終了時≒浪人開始時からこれまで学力が向上してこなかったといういことです。
それをこれから志望校合格まで引き上げるには、これまで通りの勉強ではいけません。
先ほど「最大出力」は決まっているので、その人が出せるパフォーマンスにも限界があると言ったお話をしましたね。
でも、もしかするとその「最大出力」自体を高めるような工夫も施さないといけないかもしれません。
何を、どうやって、どんな工夫をしながら進めるかを徹底的に考え抜いてください。
根性論だけで勉強時間を増やしても効果は薄いです。
残り期間での筋道を明確にしながら、妥協せずに取り組むしかないでしょう。
⇩戦略とスケジュールの考え方はこちら⇩
さいごに
浪人生が伸びないと言っている訳では無い
この記事の要点は
・「伸び悩み」なんて言うけど浪人開始してから伸びてすら無いよ?
・現役生が本腰じゃない時期に好成績が出たからって伸びてると勘違いすんなよ?
・勘違いの末路は結構厳しいよ
こんな感じです。
厳しく見えるかもしれないですが、別に浪人生が伸びないと言っている訳じゃありません。
しっかり自分と向き合って取り組んでいれば成績爆上げで受かる人もいます。
ただ、少数ってだけです。
もし、あなたが受かる浪人生になりたいならこちらの記事をご覧ください。