受験生のお悩みの中に「英語長文を読む際、単語は分かるのに読めない」というものがあります。
あなたはどうでしょうか?経験したことありますか?
この問題は非常にシンプルです。
考えられうる可能性はたったの2つしかありません。
必ずと言っていいほど、その内のどちらかに該当します。
でも、自分で答えを出そうとしても中々気付けないものです。
悩んでいる間というのは視野が狭くなって冷静に考えたら分かる事でも見えなくなってしまいます。
そこで今回は単語は分かるのに英語長文を読めないと感じる際の原因特定と解決策を提示します。
たった2つの考えられうる可能性を順に説明していくので、自分に当てはまるか注意して読み進めて下さい。
思い当たるところがあれば、それがあなたの原因です。
単語は分かるのに英語長文が読めない際に考えられうる2つの可能性
2つの可能性とは
単語が分かるのに英語長文が読めない、と感じる際に考えられうる可能性は以下の2つになります。
・実は単語を知らない(知っているつもりになっているだけ)
・文法や英文解釈ができない
まず、実は単語を知らないというのは、その単語をどこまでちゃんと理解していますか?という認識の甘さについての言及です。
多く受験生が甘い認識を持っています。
英単語1つ取っても浅い理解と深い理解があります。
単語を知っていると認識するに当たって、その基準の厳しさは人によって大きく異なります。
単語の理解に対する認識が甘いのではないか?ということがまずは考えられます。
そして次に、単語が分かっていても文法や英文解釈力が弱すぎるという可能性です。
英文は単語が分かれば読めるというものではありません。
文法というルールに基づき、正しく文構造を取れなければ正しい意味は把握できません。
従って単語以外の弱点が多ければ、いかに単語を知っていても読めないのは必然です。
可能性としては以上の2点です。
それでは以降で詳しく説明していきます。
単語に対する認識の甘さ
単語が分かるとは?
そもそも、単語が分かるとはどういうことでしょうか?
各単語の見出しになる意味を1つ覚えていたら、単語が分かるという認識になるのでしょうか?
これは単語が分かる内には入りません。
単語が分かるっていうのは
”文意に則って、適切な意味・品詞・用法を当てはめて訳すことができる状態”
であるはずです。
この状態にないのであれば、そもそも単語は分かるっていう認識自体が誤りです。
例えば、bookという単語を「本」と訳すことは中学校1年生でも、いや小学生でも出来るかもしれません。
じゃあ、「本」と訳せたらその単語が分かると認識して良いのでしょうか?
日常生活レベルでは問題ないですが、少なくとも大学受験レベルであれば不十分です。
これは英単語において非常に浅い理解です。
bookには「帳簿」や「予約する」という意味が有ります。
これらの意味で訳すべき箇所を「本」と訳すなら、それがその文中におけるbookが分からなかったという認識を持つべきです。
これは意味だけではありません。
「予約する」という意味で用いられている場合は動詞なので、「本」と意味が異なるだけでなく品詞も異なります。
品詞が異なれば当然文構造の取り方そのものが変わるので、これでは正しく読める訳がありません。
もしも英単語帳の見出しの意味を1つ覚えて満足しているというのであれば、それは単語が分かるというには程遠い次元にあります。
「分かる」というよりは「何となく知っている」くらいの認識であるべきです。
では、どうやって英単語の対する理解を深めて行ったら良いのでしょうか?
以降で見ていきましょう。
単語を覚える際の意識の徹底
英単語の対する浅い理解から脱却するためには、意識を徹底するしか方法はありません。
見出し語の意味を1つ覚えているなんて当たり前、寧ろそれしか覚えてないの?くらいに徹底した意識を持つようにしてください。
単語を覚える際に以下を徹底的に意識しましょう。
・複数の意味
・それぞれの意味の品詞
・動詞がある場合は、自動詞か他動詞か
・伴う前置詞や語句
・派生語
少なくとも単語帳に記載のあるん範囲では、ここまで覚えきれていないと単語が分かるとは言えません。
まず、英単語では全く異なる意味を複数個持つ事が多々あります。
先ほどのbookなんかもそうですね。
例えば、rightなんかも「右」という意味では小学生でもわかりますが、大学受験で良く問われるのは「権利」ですよね?
「権利」と訳すべきところを、それを知らず「右」と訳せば意味が破綻します。
そして、意味が変われば品詞が変わる事も珍しくありません。
品詞が変わるってことは、文中でのその単語の役割が変わるってことです。
名詞、動詞、形容詞、副詞、それぞれが異なった役割を持っていますよね?
そして、その役割に基づいて僕らは英文を解釈します。
そこで、もし形容詞で訳すべきなのに名詞で訳してしまたり、動詞で訳すべきなのに名詞で訳せば当然意味が変わる、というか意味が分からなくなりかねません。
英文解釈が得意な人なら分かると思いますが、品詞が分からなくても目途を立てて品詞を特定することは出来ます。
でも、文構造が複雑であれば、その目途を立てるにしても困難な場合も出てきます。
なので単語帳に記載がある範囲程度であれば覚えておいた方が早いし確実です。
そして、品詞に若干絡みますが動詞の場合は自動詞と他動詞も意識しなければなりません。
自動詞と他動詞の違いはご存知の通り、目的語を取るかどうかです。
その動詞が目的語を取るかどうかというのは、英文解釈で非常に大きな役割を果たしますよね?
この区別をしっかり出来ていないと、根拠を持って訳すことが難しくなる場合が多々あります。
また、自動詞の場合は後ろに前置詞が続くことも多いので、その前置詞までセットで覚えておいた方が良いでしょう。
しかし前置詞を覚えるべきは自動詞の場合に限りません。
名詞でも、形容詞でも他動詞でも、そこに伴うことのある前置詞は覚えておきましょう。
前置詞までセットにしていないと、突然前置詞が出現した感覚になり、それをどう捉えたら良いのか分からず意味も文構造も崩れる恐れがあります。
前置詞以外にも伴う語句があれば、それはセットで覚えておきましょう。
先ほど例に出した「帳簿」という意味でつかわれるbookで考えてみましょう。
keep booksで「帳簿を付ける」になりますが、これをセットで覚えていないと所謂keepを基に考えたりbooksも「帳簿」と訳すべきなのか根拠不明になりかねません。
同様にセットで覚えないと不便が起きることも多々あるので、単語帳に載っている範囲であれば極力セットで覚えてしまうのが得策です。
そして派生語まで気を配れると尚良いです。
例えば、senseという単語にはsensible, sensitive, sensationalとそれぞれ意味の異なる派生形を持ちます。
名詞形や動詞形とったざっくりとした派生だけでなく、派生にも細かく色々あるのでそこまで意識して覚えるようにしましょう。
ただ、ここまで意識して単語を覚えようとすると時間が掛かるかもしれません。
なので効率的に単語を覚える学習法を以下に貼っておきます。
早慶志望必見になっていますが、早慶志望以外の人にも使える内容になっています⇩
文法や英文解釈が出来ない
単語を知っているだけでは読めない
英文は単語を知っているだけでは読めません。
仮に簡単な英単語のみで構成された英文であっても、その文法や英文解釈が出来なければ正しく読むことは出来ないということです。
もしかしたらあなたは文法知識をそれなりに持っていると、そして英文解釈もそれなりに出来るつもりだと思っているかもしれません。
試しに以下の英文を読んでみて下さい。
単語自体は難しいものは無いと思いますがあったら、調べて読んで貰っても大丈夫です。
以下の文章が読めなければ文法知識、英文解釈力が足りていないってことです。
単語が分かっても、それらが無いと文章を止めないんだということは実感してもらえると思います。
⇩では、力試し開始です。
ちなみにgenuinelyは「本当に」です。
" The building up of a taste for those books which genuinely discriminating readers have decided, generation after generation, are worthy of preservation, is gradual. As your taste for books and knowledge of them increase, your earlier opinions will in many instances be changed, for this is a process of real development. "
(英文解釈教室166pから引用)
殆ど難しい単語は無いと思います。
少なくとも、大学受験の単語帳レベルのモノしか含まれていないはずです。
ちゃんと訳せましたか?
全体の意味は掴めましたか?
初めに訳を載せておきます。
自分の訳と照らし合わせてみて下さい。
一文目「真に識別力のある読者が何代にもわたって保存に値すると定めた書物の良さを知る力の形成はゆっくりと行われる」
二文目「書物の良さを知る力と書物に関する知識が増えるに連れて、以前の考えは多くの場合には変わっていく。というのも、これが真の進歩の過程だからだ。」
※気になる人もいるかと思い解説入れました⇩ 解説なんて興味ないって人は読み飛ばしてください。
一文目はThe building upがS、is gradualがV(+C)です。
The buliding upはbuild upの名詞化したもので、目的語は a tasteです。
the 動詞の名詞化+of +目的語で、目的語を○○するみたいな訳になる奴です。
例えば動詞のreadをThe reading of this book「この本を読むこと」と訳すのと同じです。
なので「ある力(=taste)を作り上げることはゆっくりと行われる」が大まかなSとVです。
そのa tasteを説明しているのが for those books から are worthy of preservationです。
are worthy of preservation のSはthose books whichで、これはHe is the person who I think is innocent of this crime.を「彼は私が無罪だと思っている人です」と訳す際のi thinkと同じ考え方です。
なので解釈的には genuinely discriminating readers have decided that those books are worthy of preservationのように考えると分かりやすいかもしれません。
ちなみにthose books のthoseは先行詞を明示する役割をするだけなので訳さないです。those who ~で「~な人々」とだけ訳して「それら」とは訳さないのと同じですね。
2文目は知識さえあれば問題ないと思います。
asが「~につれて」forが前置詞じゃなくて接続詞だということくらいです。
ちなみにAs の中はyour tasteが主語1で knowledgeが主語2、これらをandで繋いでいます。
さて、大きく本題から逸れてしまいました。
話を戻しますが、単語は難しくなかったですよね?
何が言いたいかというと、単語だけ知っていても文章は読めないということを身を以て感じてもらえましたか?ということです。
単語が分かるだけじゃ難しいと思いませんか?
文法知識はさることながら、それらを使えないといけないし、文構造も取れないといけないということは多少は分かってもらえたのではないかと思います。
なので単語が出来るのであれば、しっかり文章を読めるように単語以外の力を付けるように取り組みましょう。
⇩正確に読むための全体像を0から知りたい方はこちらも⇩
読めるようになるには
まず最低限の文法事項を網羅する上では、文法問題集を1冊仕上げると良いでしょう。
文法問題は長文とは別で独立して出題されることもあるので、長文にも使える+文法問題で得点できるという一石二鳥です。
コツは1冊を繰り返して完璧にすることです。
至ってシンプルですが、これが最も早く身に付きます。
具体的な文法学習法はこちらから⇩
文法知識を身に着けるだけでは英文解釈ができるようにはなりません。
また、身に着けた知識はアウトプットしていかないと、いざ訳す時に上手く使えません。
その為には沢山長文を読んで、復習をしっかりやる事が一番の近道です。
解説の日本語訳と自分の訳を照らし合わせて何故この訳になるかを徹底的に復習してください。
それを効率良く体に馴染ませていけば身に着けた文法知識も活用し、正しく文構造も取れるようになるはずです。
多読とその復習に関して具体的なことはこちらをご覧ください⇩
また、英文解釈の問題集に取り組むことも非常に有効です。
僕は英文解釈教室がおススメですが、メジャーなものであれば一旦何でも良いでしょう。エッセンス自体はどれもある程度共通しています。
ただ、英文解釈の問題集一冊を何となくやっても変わりません。
やるからには解説も含め全て吸収するつもりで取り組んでください。
一冊分、全て正しい訳が出来て解説まで理解できるようになっていれば、速さはさておき正確に読むことに関しては十分な力が付いているはずです。
さいごに
単語が分かるけど読めないの謎は解けた
これであなたの謎は解けましたね?
単語が分かるのに読めないと感じる正体は、実は単語が分かっていないか、単語以外が弱いかしかありません。
恐らく本記事中には、あなたに心当たりのある事もあったと思います。
見出し語の意味しか覚えてなかったとか、例題の文章読めなかったとかです。
それなら、もう課題は見つかりました。
後はそれを着実に埋めていくだけです。
頑張りましょう。
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