大学受験に鉄則とも言えるのが、「何を使うか」よりも「どう使うか」の方が大切だということです。
多くの受験生が、どの参考書・問題集がより優れているのかを吟味し、より良いと思うものを手にしようとします。
が、残念なことに大半の受験生にとってそれらに差はありません。
より良い問題集を吟味する必要があるのは、各問題集を適切に使いこなせる受験生に限定されます。
そもそも殆どの受験生は問題集を使いこなす事すらできないので、吟味しても意味が有りません。
平たく言ってしまえば、大半の受験生にとって優れた問題集は「無用の長物」であるということです。
どんな問題集も優秀な受験生が使えば効果があるし、無能な受験生が使えば効果は無いものです。
優秀な受験生と同じ問題集を無能な受験生が手にしても、同じ成績になれる訳では無く、それは結局「使う人次第」でしょう。
まず大前提として大事なのは、「何を」よりも「どう」使うかです。
「どう」使うかをしっかり身に着ければ、何を使うかにそれほど拘らずとも結果は付いてきます。
どの問題集を使おうと偏差値が10も20も変わるほどの内容に差はありませんが「どう」問題集を使うかを理解し実践すれば偏差値の10や20は簡単に上がるものです。
この記事では、「どう」使うかの重要性と、具体的にどう使うかについて説明します。
「どう」使うかが重要な理由
問題集自体に大きな差は無い
多くの受験生がより良いものを追求しようとするものですが、同じレベルの参考書・問題集であれば内容に大差はありません。
少なくとも、有名なものに限れば本質的に得られる内容はほとんど同じでしょう。
例えば、大学受験の英文法の参考書・問題集に関して考えてみましょう。
多くの人が使用するメジャーなものが何冊かありますが、それぞれ大学受験の英文法に精通した人によって作成されています。
その人たちが大学受験の英文法に関して重要だと考えるポイントは大きくは似通っており、本質的に全く異なる見解を持ち出すことは滅多に無いでしょう。
極端な話、問題集Aを使えば偏差値20上がるけど、問題集Bを使うと偏差値1しか上がらないなんて差はある訳無いんです。
僕は英文法では「頻出英文法語法問題1000」を使用していました。
この1冊のみでしたが模試でも、入試でも文法問題の95%は正答出来るようになりました。(20問に1問だけ間違えるレベル)
じゃあ、「頻出英文法語法問題1000」を使わないと95%正答出来るようにならないのか?と問われれば、そんなことは無いでしょう。
他の問題集を用いても僕と同じくらいに正答出来る人はいるはずです。
仮に若干情報量に差があるにしても、それはその問題集を完璧に使いこなせるようになった上での話です。
先ほどの僕が使っていた「頻出英文法語法問題1000」を例に挙げれば、95%を96%に上げるとかって次元なので95%取れるような使い方ができる人に限定されるでしょう。
各問題集を使いこなせればそのレベルの問題はほぼ完ぺきに対応できるようになるわけですので、「何を使うか」よりも「どう使うか」をまずは重要視して考えるべきでしょう。
成績の伸び方は問題集でなく使用する人の力量に依存する
・偏差値70の人と同じ物を使えば誰でも偏差値70になれるのか?→そんなことないですよね?
優秀な受験生と同じ問題集を用いても同じような結果が出る訳ではありません。
これは、もしかしたらあなたも感じた事があるかもしれませんね。
優秀な人と同じものを使えば自分も優秀になれるというほど受験は簡単なものではないってことです。
基本的には、「問題集の質×受験生の使い方」と考えるべきでしょう。
そして、前述の通り問題集の質に大きな差はありません。
そうなると肝要なのは、使用する受験生の力量、つまり「どう使うか」です。
先ほど例に出した「頻出英文法語法問題1000」を使って僕は文法問題正答率95%まで高めることができましたが、これを使う人が皆95%正答出来るという訳ではありません。
人によっては60~70%しか正答出来ない、いやもっと低い正答率の人もいるかもしれませんね。
より良い問題集を使いたいと考える受験生の気持ちも痛いほど分かりますが、それは「使い方」を知ってこそ。
もし仮に、僕が95%正答出来るようになったからと「頻出英文法語法問題1000」をあなたが使い始めても、「正しい使い方」が分からなければ95%正答出来るようになるわけではありません。
本当に成績を上げるつもりであれば、「何を」ではなく「どう」使うかを意識して取り組みましょう。
正しい問題集の使い方
前提:自分のレベルに合っているものを使う
以降で、着実に成績を上げつ為の「正しい問題集の使い方」について言及しますが、それには1つ前提があります。
自分のレベルに合ったものを選ぶということです。
極端な話、am is areの区別もつかないのに英検1級取得したいからと英検1級の問題集に手を付けても効果が無いどころか、寧ろ時間を無駄にしているだけであることは言うまでもなく理解してもらえると思います。
焦りから自分の本来のレベルとかけ離れているものに手を出しがちな人もいますが、きっちり自分のレベルに合ったものを使う方が成績向上には有効です。
これからお伝えする問題集の使い方は、自分に合ったものを使っている前提になります。
1冊を完璧に仕上げる
まず1番に意識しなければならないことは、「1冊を完璧に仕上げる」ということです。
完璧に仕上げるとは、記載されている問題が全て間違いなく解けるのは勿論、解説も含めて全て頭に入っている状態です。
(選択肢の問題であれば、正答以外が後藤になる根拠を解説通り説明できる状態)
既にお伝えしたように、同じレベルの参考書・問題集に内容の差は殆どありません。
そこで言及される本質的な部分は他のものでも言及されています。
つまり、その参考書・問題集には身に着けるべき知識が網羅的に記載されていると思ってください。
多くの受験生は「完璧に仕上げる」ということができません。
僕の所へ受験生から質問が来る際も、表題の問題だけ解いて満足してしまっている人が非常に多いです。
しかし、表題の問題だけで身に着けるべき知識を全て網羅することは出来ません。
その問題が解けることは当たり前として、解説の予備知識や解答の根拠まで全て吸収するよう意識してください。
「完璧に仕上げる」ためにはどうすべきか?について以降で説明します。
※参考:小さな意識の差が成績に大きく表れるという話
徹底的に繰り返す
凡人はたった1周しただけでは「完璧」に仕上げることは出来ません。
徹底的に繰り返す必要があります。
周を増すごとに、分からない問題や未知の知識が減ります。
それだけでなく、解答速度や解答の根拠が瞬時に頭に浮かぶようになります。
最終的には、問題集が丸々1冊全て頭に入っている状態になるでしょう。
じゃあ、何周すれば良いのか?と問われると、ここに答えはありません。
100%正答出来て、解説含めすべてが頭に入っている状態になるまで繰り返しましょう。
人によっては3周かもしれないし、100周かもしれません。
何周するかは目的ではなく、完璧に仕上げるための手段です。
ただ、多くの場合は10~20周もすれば限りなく完璧に近づくでしょう。
再度自分の例で恐縮ですが、僕の使っていた「頻出英文法語法問題1000」は何周したか分かりません。
数十周はしています。
しかし、殆どの人がここまで繰り返すことができません。
それは多くの場合、尋常じゃないほど繰り返すための効率の良い方法を知らないからです。
基本的に受験生は神経質です。
完璧を求めるが故に完璧になれない、というジレンマが発生します。
誰でも簡単に高速で問題集を繰り返す勉強法は確かに存在しますが、ここで全てを説明するには分量が多すぎます。
以下の記事で、目次から単語や文法の学習法に飛んでもらえれば超高速で繰り返すエッセンスが分かります。
分からない問題は考えない
分からない問題は、考えても分かりません。
特に知っているかどうかを問う知識系なら尚更です。
見た瞬間に答え方が分からないのであれば、それは飛ばしましょう。
本当に理解が深まっていれば見た瞬間に解法が頭に浮かぶはずです。
問題集を解いている段階では解けなくても、分からなくても問題ありません。
本番で正答出来れば良いわけですが、そのためにやるべきことは少しでも多くの解法や知識を吸収しておくことでしょう。
解けない・知らないことを認め、さっさと解答に目を通してください。
上述した「徹底的に繰り返す」ためにも、立ち止まることなくサクサク見切りをつけて進めることは大切です。
【よくある失敗例】浅く広く手を広げない
・完璧に仕上げないなら何冊やっても変わらない
殆どの受験生は、問題集を完璧に仕上げる前に次の問題集に手を出します。
これは、次の問題集に手を出すこと自体が問題という訳ではありません。
問題の本質は、1冊を仕上げる根気と吸収意欲の欠如に問題があります。
例えば問題集Aを70%身に着けたところで問題集Bに移行したとしましょう。
これだと問題集Bも70%の習熟度で切り上げるでしょう。
仮に次の問題集Cに移っても同様です。
また、上述の通り同じレベルの問題集ならば本質的な内容に大きな差はありません。
つまり、何冊取り組もうとも、そのレベルに対する習熟度は70%から上には行けないということです。
70%を上限とする取り組み方を自らしているということに他ならないのです。
「たくさん問題集に取り組んでいるのに成績が上がらないのは何故だろう」と思う受験生もいるかもしれませんが、それはこのカラクリを知っていれば当然と言えるでしょう。
もしも、問題集に広く手を付けるのであれば、それは全てを完璧にする前提である必要があります。
そして、もし1冊すら完璧に仕上げる術を知らないのであれば、まずは手を広げ過ぎず1冊を完璧に仕上げましょう。
さいごに
「どう」使うかだけで成績は見違えるほど伸びる
もしあなたが「何を」使うか迷っているなら、何でも良いので目の前の1冊を完璧に仕上げてみて下さい。
成績を上げたい、偏差値を上げたいと強く思う人ほど「何を」ではなく「どう」使うかに拘ってください。
「完璧に問題集を仕上げる」たったこれだけで、志望校への合格はグッと手繰り寄せられるでしょう。